私の職業遍歴【その1】
むか-しむかしのおはなし
福祉系専門学校を卒業後20歳で老人施設に就職。
ここは県内でも大規模施設で有名だった。
賃金もそこそこよく先輩や同期にも恵まれ楽しく仕事をしていた。
新卒一年目は学生気分が抜けきれず友人達と遅くまで飲み遊ぶ日々だった(愚か者)。
介護の仕事はシフト編成が様々で早朝は6時からの勤務や夜間勤務【当直夜勤】で生活リズムもめちゃめちゃだった。
一人暮らしで朝も弱い私は6時出勤に度々遅刻しその度、鬼の形相で煙草をふかす主任に謝罪報告をしたのを忘れもしない。
何度目かの遅刻報告日
主任「お前何回目だよ!!」
私「はい!すみません!次は気を付けます!!!」
主任「今度やったらどうする?」
私「・・・・どうしましょう・・」
主任「そうだ、次遅刻したら坊主な。それもみんなの前で」
私「わ・わかりました・・」
こんなやり取りがあった3週間後、、、
通勤バイクが通勤中に動かなくなった。※200㏄の中古TW(セルなし)
半泣きになりながらもキック始動を繰り返すも無念。バイクを突き走りながら大遅刻で出勤する。
出勤早々に手招きする主任(主任は夜勤明けの時間延長中)
主任「やったな?」
言い訳を必死に話すが
「そんな古いバイク乗ってるからだろ?」で言い訳時間終了
バリカンを準備しだす主任。事前に持ち込み準備していた模様(半泣き)
私は罰則としてホール真ん中に椅子を準備し職員やご利用者さんが見ていた。
主任「○○さん(ご利用者)昔は子供さんの散髪してあげていたそうですね?彼の散髪手伝ってあげませんか?」
私「ん?」
○○さん「いいよ-(笑顔)何年ぶりかしら( ´艸`)」(きっと何十年ぶりだ・・・)
ヴィイイイイイイイイイイィイィィィィイィィン:;(∩´﹏`∩);:▬
おばあさんの震える手で断髪式が始まった。
代り映えの少ない高齢者施設に非日常イベントが起こった途端ホールは歓声と笑顔が広がった。その場にいた職員も、○○さんの普段見ない表情と行動に驚いた。
○○さんは覚醒したかのようにジャンジャンとバリカンを入れていた。
現在の働き方ではパワハラと言っても過言ではない主任の行動(マ、遅刻も絶対ダメ)
それは認知症高齢者の長期記憶を刺激し覚醒させる結果を起こした。
私も周りの歓声に、このイベントに不平不満も無く、このイベントを盛り上げるようにスイッチした。(オーバーリアクションに)「ぎゃーーー(';')」
あまり覚えてはいないが若い職員(女性)数名もバリカン初体験にテンション上がり順に断髪を手伝ってくれた。(照)
凸凹に出来た坊主を最後に主任が綺麗に整えて丸くしてくれた事はハッキリと覚えている。
大きな施設だったので2年目には内部異動でその主任とは一緒に仕事をする事も無くなったが、断髪式依頼、私は一度も遅刻はしなくなった。
罰則が怖いからではなく。不思議なおまじないに掛かったように朝起きれた。
その職場では4年間ほど勤務し、両親の介護を助ける為、泣く泣く故郷に帰省した。
退職する少し前、その主任に挨拶に行った
私「いろいろ迷惑かけましたね。」
主任「ホントお前ほど遅刻するやつ初めてだ。次の職場では遅刻しないようにな。」
私「はい。たくさん怒られましたけど、初めての上司が主任で良かったと思っています。実は遅刻の事上部には報告しないでいてくれたんですね・・・・(こっそりリーダーに聞いた話)」
主任「まぁ、、、、、言えないだろ!?(笑)」
私「そっすね(汗)ありがとうございました!」
主任「また会ったら酒でも飲もうな」
と1つ目の職場での経験が終わった。特に落ちはない。
また気が向いたら 書きます